制服移行期なんて
 冬から春へと季節が移りゆく時期は、気候が大きく揺れるものです。 とりわけ富山県では4月に雪もみられますし、はたまた春の南風フェーン現象によって、同じ4月に最高気温25度以上の夏日、そして30度以上を記録することもあります。
 富山高校の制服は冬服が10月から、夏服が6月から。1週間の移行期間があるものの、5月の半ばを過ぎてまで冬服に快適さを感じる生徒はいません。 そもそも制服の移行期とは必要なものなのでしょうか。移行期がなければ衣替えの判断をためらうような自主性のない生徒はいないはずです。 逆に言えば、衣替えの判断くらい自分でできなくて、立派な高校生とはいえません。
 ただでさえ、湿度の高い日本の気候に西洋の服装は向かないというのに、夏のような気温のもとで厚着をさせて、健康にいいとは思えませんし、授業の集中力が続くとも思えません。
 富山高校では、教室の中ならば下が白のカッターシャツの場合、男子は学ランを脱ぐことが「容赦」されます。 暑い日にみられる、「学ランは単に持ってきて椅子に掛けておくだけ」というありさまは、まさに形骸化した制度の遵守という社会悪の縮図です。 もちろん、登下校はおろか、ひとたび廊下に出るときは学ランでないと注意を受けるのです。 「男子だけ学ランを脱げるのは、女子がかわいそうだろ」という教師の言葉は本末転倒、へそでお茶漬けまで作れてしまいます。 暑ければ夏服、寒ければ冬服。これが人としての自然な姿というものです。
 頭が堅い、という言葉に誇りすら感じる人々も世に見受けられますが、成文法に縛られてばかりいるのでは「堅い」のではなくて「悪い」だけです。 毒舌御免。

寄せられたご意見 1999/5/23
各方面に送った手紙の内容 1998/10/5
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1999年11月24日加筆
 現役生からの情報を元にとりあえず現状報告いたしますと、「夏服と略服」、つまり長袖と半袖の移行は自由化が成し遂げられました。 このことは生徒にプリントで告げられ、「とりあえずコレでかんべんして」とは書かれていませんでしたが、そんな感じの文面に見えたそうです。
 しかし、長袖と半袖の移行はもともとあまり取り締まりも厳しくなく、職員の間にも「まあ、しょうがないか」的なムードが流れていた気がします。 わたしたちが最も望んでいるのは、「5月冬服」の苦しみからの開放なんですがねぇ。
1999年5月21日加筆
 ついに生徒会が動きました。杉木執行部は13日、部員全員で特活部長の松下先生に制服移行期問題について建白。 松下先生は「生徒が自分たちの生活について考えるのは良いことだ」と好意的な見解を示してくださいました。
 しかしこれより以前の5月10日、職員会議では「移行期間は各クラスの担任に決めてもらう」という話が進められていた模様。 この不可解な改正案に杉木執行部は全面的に反対、完全な移行期撤廃に向けて活動を続ける方針です。
1998年12月21日加筆
 またご意見の掲載。熱くなってます。師走の名の通りこの時期は先生方が異常に忙しいので直訴延期です。
1998年12月7日加筆
 ごめんなさい。今回の更新はいただいたご意見の掲載です。決着といいつつ動きがないのは、単にわたしがなまけているためです。 しかし、なかなか骨のあるご意見なので反響もお待ちいたします。
1998年11月1日加筆
 4月25日に新設して以来、実に大きな反響を呼んだこのコーナーにも、ついに決着の時が来ました。 この間のアクセス数は500にせまり、いただいたメールも特集ページとしては群を抜いています。 本当は10月5日に校長先生のご意見をお聞きできた時点でもう大勢は決まったようなものですが、新執行部発足や中間テストなどが重なり行動を起こせませんでした。 近いうちに米沢生徒会室に足を運んでみます。
1998年10月5日加筆
 きょうの放課後に校長室に呼ばれて校長先生のご意見をお聞きすることができました。 本当に(本当の本当に)お忙しい中お時間を割いていただきありがとうございました。
 校長先生のご意見は「社会的習慣である衣替えも考慮しなくてはならないが、生理的に無理をして冬服を着用するのはおかしい」 という主旨のもので、おおむね筆者の意見と同じ方を向いているようです。 「率直に生徒指導部に言ってはどうか」とのことなので、直接筆者が、もしくは生徒手帳に示された手順通りに生徒会長を通して談判したいと思います。 大変実りのあるお時間をいただきました。
 余談ですが、校長先生のお話では、今でこそ皆が「とみこう」と呼ぶ「富校」「富高」ですが、昔は「富中(ふちゅう)」同様に「富高(ふこう)」と呼んでいたそうです。
1998年10月4日加筆 職員の方々へ (と、複数にめがけるから集団心理が働くのだろうか)
 鬼の首でも取ったがごとく書くのもなんですが、10月1日に富山では31.3度を記録するなど、まだまだ暑さは元気に残っています。 朝登校して教室につくなり学ランを脱いでしまう生徒がいるのは当たり前、脱げずに我慢していた女子の中にも体育の時間以降は夏服、なんていう生徒がいるようです。 登下校だけの制服が果たして必要でしょうか。一番暑いのは体育の時間直後と自転車での登下校なんですよ。
 最近思うようになりました。実は先生方もわかっているのかも知れません。ただ、校則改正となるといろいろと手続きが大変なのです。 いえ、決して面倒だなんて思ってはいないでしょう。生徒の健康のため、授業への集中のためになることなら喜んで改正したいのです。 しかし、しなければならないもっと重要なことがいっぱいあるのです。だから時間が割けないのです。違いますか。
 だからといって冬服を着ます、というわけでもないのですが、もしそうだとしたら、もっと重要なことを先におやりください。 制服のことについては、生徒会に任せてください。職員の黙認に甘んじて富校生徒会が動かないかもしれませんが。 ともあれ、全国の多くの学校はそうしていますし、世間の人々はそうあるべきだと考えています。 生徒会と職員との大抗争の末に生徒会が強くなった学校は伝統校を中心に数多くありますが、その逆はないのです。
 えーと、早い話、黙認してるとみんな勝手に着ちゃうぞ、ということ。筆者は止められても着るけど。

予想しうる学校からの反論
 どうせ「学校」としての反論を書く勇気と権限のある先生はいないだろうから、議論の発展を助けるべく、予想される反論を書いておきます。 ちょっと揶揄も入っているかもしれませんが。事実と違うならご指摘受け付けます。
 「規律が大切なのだ。制服もみんなそろってなくてはだめだ」
 「移行期間があるだけでも譲歩したんだ」
 「いろいろと面倒な手続きがね・・・」
 「わたしに言ってもねえ。上に言ってくれ」
 「だったらほかの高校行きなさい」
 「スカートの丈を直してから言いなさい」

この企画の目的
 なんといっても強く訴えたいのは、現役生と、富校の杜読者の先生方にです。 組織の鎖が重くのしかかる富校のことですから、「職員室」からの反論はもとより期待していません。 このような形で訴えられるだけで満足です。ただし、万一ご意見いただけるならば、呼び出しでもなんでもしてください。
 筆者はもっともな理由によって退学でも勧告されない限り、暑ければ夏服を、寒ければ冬服を着ていきますが、制服の移行期はいずれ撤廃されるべきです。 夏のような日に、冬服を強制された生徒が暑さで倒れた、なんて事件が新聞にでも載れば、マスコミにさんざん叩かれた挙げ句に世の中から制服移行期が消える、という事もあるでしょう。 そうならないのは冬服が原因で人間が倒れることがないだけのことです。深刻ではないにしろ、健康で文化的な人間の姿とはいえません。
 筆者は中学のときもこれと同様の思いを抱き、月岡中学校の制服移行期を撤廃する事に成功いたしました。(2001/12/13 注:その後ふたたび移行期は復活してしまったとの情報も)
 なお、お寄せいただいたご意見は、特に断りのない限り匿名にて掲載させていただきます。良い意見が集まれば職員室に提出もしたいものです。
ひとことでも、2、3行でもいいので反響をお待ちしています。

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